薬学関連で計算科学をやっていると良く聞かれる質問集

  • 2018/12/06 宇宙海賊コブラ さん @TGrlmP3I4TRy023 からいただいた質問を追加しました

こちらは創薬 Advent Calendar 2018 3日目の記事です。

一応、薬学系の研究室で計算化学を使って研究している者です。

応用的な理論研究をやっていると良く実験系の人とコラボすることが多いですが、分野の違う人の前で発表するとプリミティプな質問や答えに窮する質問が飛んできます。

対応できるものやそもそも現状無理なものまでたくさんあります。

筆者が一番心に残っているものは、学部時代に実験の先生から言われた「絵に描いた餅は食えない(理論)」という言葉です。 すぐに「昔はそうやったが、最近は食べられるようになってきたのかなと思う」というフォローが入りましたが、含蓄のある言葉です。 実際、計算しただけでは意味が無く、計算した結果を実験や実世界にどう生かすのかも考えるのが重要に思います。 そのためには、自分の分野以外の人の研究も把握して、自分の研究がどういう立ち位置にあるかを理解しておくのが重要です。 餅の絵が欲しいから計算をやっているわけではなく、餅が食べたいから計算をやってるという意識で研究していきたいですね。 実験系にフィードバックするまでが計算科学です。

今回は、自分の分野や他の分野の人から受けた質問や聞いたことのある質問を思い出せる限り書いていきます。 対策とかはないです。

もし、コメントで他の質問をいただけたら、名前も含めて追記していきます。

薬学関連の計算科学の研究をしていると良く聞かれる質問集

普通の質問

この研究は意味ある?

良くある質問ですがこの質問をされる場合、発表の対象設定が間違えてるかもしれません。

この計算意味ある?

「無」という結果を発表した場合、このような質問が飛び出るかもしれません。

この計算研究として成立してる?

一つだけ計算やって、コントロール的な対象がなければこうなるかもしれません。

どういう風に論文にするんですか

多分本当に分野違いの人の純粋な疑問か、あるいは、目的が不明瞭な場合

新規性は何?

前のやつでもできるのでは?違いを教えて

研究をやって行く中で一番難しかった所はどこですか?

優しい質問。筆者も学部生に対して良くやる。

前任者はこう言ってましたが〜?

卒業した先輩のテーマでやってるとこんな質問が飛んできます。 はやく先輩を超えましょう。

その結果からはそういう結論にはならないと思いますが。

その先生の専門分野で地雷を踏んだかもしれません。 ただ詳しく聞けば、いい感じに直してくれるかもしれません。

オーバートークでは?

検討できていない条件があるっぽいです。

倫理上問題ないの?

臨床データの扱いには注意しましょう

ビジネスにはしづらいな。

お金にならない

これはアカデミアでやらなくてもいいのでは?

もっと基礎研究に寄せよう。

発表についての質問コメント

ストーリーがわかりづらい

事実の羅列だけで科学になるから、ストーリーなどいらない。そう考えていた時期もありました。

スライドが重い。

字が多すぎる

字が小さい。

字が小さい

私は分かったけど大多数はわからなかったと思う。

チェアマンの背景知識に合わせた発表にするのがいいとは言いますよね。

実験系の質問

実験的な裏付けはないんですか?

あるといいですね。

実験における先行研究の結果との整合性は?

(from 宇宙海賊コブラ さん @TGrlmP3I4TRy023)

整合性が取れてないと実験系の前で発表するのは厳しいかもです。 実験系で信じられていることを計算のみで覆して説得するのはとても難しい。

なぜ実験ではなく計算なのか?

(from 宇宙海賊コブラ さん @TGrlmP3I4TRy023)

根源的な質問で、状況によって答えが様々に変わる質問。

その人によってどこまで言えば納得してくれるかも分からないことが多く、ヒアリングが必要になってくるなため、『あとで話しましょう』になりがちな質問。 あとで話しましょう。

ただ、発表側からすると質問してくれるだけありがたいので、本当に気になった場合は積極的に使っていましょう。

返答例いろいろ

  • 実際の現象をシミュレーションで直接みることができる。
    • 生物系の人に対しては良く通じる言い方
    • 「何をみてるか」が明らか
    • その現象をみてると証明するためにポジコンとったりネガコンとったり苦労しているところは価値を分かってくれる
  • 測定に伴う撹乱要因を排除できる。
    • 測定機器や試薬による変化を取り除くことができる。
    • 実験では(科学的議論においては)それらをコントロール実験で排除するが、繊細すぎて取り除けないものが存在。
    • シミュレーションではその現象のみに絞って結果をだせる。
    • 物性系の人は機器分析でその現象そのものが見れてると思いがち(ToDo:適切な文章に)
  • 意思決定に役出つ
    • 科学的な議論はできなくとも、結果から今後の実験の計画を立てることができる。

他の例はないですか?

無かったら無いっていうしかない。 あるのであれば、最初からいうべきであった。

私はそうは思いません。

バトルの始まりです。 ただ、大抵の場合、計算条件の説明が足りなかったり、結論がデカすぎるだけなので、うまく条件を絞っていきましょう。

実験でやってみないん?

時間があれば。卒業する人にこれを言ってもという感じではある。

うちにはお金も人でもないからそれはできない

なんか言い方が悪かった部分あった可能性があります。 実験系は大変です。手伝ってもらってることに感謝しながら発表しましょう。

後付けの理論のように思いますが?

実験で部分的しにか検証できないことを、計算で補完または示唆できる例をあげましょう。

実験で分かっている(とされている)ことの紹介の仕方が悪かったのかもしれません。

何作ればいい?

何か提案しましょう。

これはすぐには作れない。

合成可能性も考えましょう。

ドクターには進むの?

「ドクター発表で最終結果を聞くから首を洗って待ってろ」の言い換え

計算科学系でも微妙に背景の違う人からの質問

これが分かって何かいいことはあるの?

目的と実験設定が乖離している?

計算科学で同じ分野の人

ターゲット選定間違えてない?

なぜこのターゲットを選んだか説明しましょう。 チャレンジングだから、でも良かったりします。

このパラメータおかしくない?

説明しましょう

なぜこの基底関数選んだの?

(from 宇宙海賊コブラ さん @TGrlmP3I4TRy023)

量子化学計算をやっていると聞かれる質問。 ガウス基底や平面波基底などがあって、系によって最適なものが異なる。

そもそもこの計算手法ではその現象は説明できないのでは?

やばい

別の手法でも試した?

できればやる。できなければ、できない理由を説明する。

ここを説明できないと、メジャーリビジョン以上ですよ。

リジェクト

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